尾瀬国立公園は、日本最大規模の山岳湿原である尾瀬ヶ原の湿原景観を中心に、長年の自然環境の中で育まれてきた多様な植物相を持ち、日本における自然保護活動の発祥地として象徴的な存在です。2008年には、尾瀬に関わる多様なステークホルダーによる「尾瀬国立公園協議会」が設立され、「みんなの尾瀬を みんなで守り みんなで楽しむ」を基本理念とする『尾瀬ビジョン』に基づいて、国立公園の協働型管理が推進されてきました。
ADDIXでは、環境省から委託業務として構想策定/片品観光協会と連携して実行業務を行いました。構想査定パートでは、尾瀬国立公園の魅力向上と質の高い利用を目的に、2021年度から3年間の検討及び施行期間とし「尾瀬国立公園利用アクションプラン」を策定。最終年度の3年目にこれまでの利用状況の調査データを基に、利用者を3つの層(ビギナー、リピーター、ファン)に分け、各利用者層の充実をはかるための戦略を策定しました。また、目標の達成状況と取組の成果を把握する成果指標と数値目標を設定しました。
この策定プランを実行するため、観光庁の取り組む『サステナブルな観光に資する好循環の仕組みづくりモデル事業』にて片品村観光協会と連携し「公園内消費額向上」と「保全活動のリソース確保」 を目的とした『山小屋魅力化と宿泊者のデッドタイムを活用した保全活動推進事業』の伴走支援を実施しました。
「尾瀬国立公園利用アクションプラン」とは
尾瀬国立公園利用アクションプランは、尾瀬国立公園の魅力向上と質の高い利用を実現するために策定されました。『新・尾瀬ビジョン』が掲げる「尾瀬がめざす姿」の実現に利用面から寄与するために作成したプランであり、行動理念に基づく具体的なアクションを示しています。利用形態である、楽しむ活動と守る活動の相乗効果を図る戦略の実現に向けて、利用者を3つ(ビギナー、リピーター、ファン)に分け、各利用者層に応じた取り組みを実施しています。
課題
- 尾瀬国立公園では、営みと自然環境に関するリスク意識を高め、潜在的な危機を予測し、利用と保全のバランスを取るためのアクションプランの策定が求められていました。
- 尾瀬国立公園の利用者視点に立脚し、提供可能な価値を精査するとともに、公園の持続可能な発展につながる明確なターゲット設定を行う必要がありました。
ADDIXご支援内容
【構想策定パート】
・尾瀬利用アクションプランの検討及び策定
・3つの利用者層に分け、利用者に応じた取組を整備
・実施する尾瀬ファンベース戦略を策定
・利用状況調査の分析及びファンベース戦略の成果指標と数値目標の設定
【実行業務パート】
・利用状況調査の実施および分析
・アクションプランを実行に向け、観光庁の取り組む『サステナブルな観光に資する好循環の仕組みづくりモデル事業』にて片品村観光協会と協力し「山小屋魅力化と宿泊者のデッドタイムを活用した保全活動推進事業」を支援
成果
- ADDIXが培ってきた現状分析から構想策定のノウハウを活用し、地域課題と向き合った戦略プランと指標を設定。また、メディア運営を通して見えてきた尾瀬の価値と課題を利用者の目線で分析し、伝えるべき魅力を情緒的に発信することができた。