福島県南相馬市内の北泉海岸は、東日本大震災の前年まで5年連続でサーフィンの国際大会が開かれるなど、国内トップレベルの波質と発生頻度、場所の広さを誇るサーフポイントとして国内外から多くのサーファーが訪れていました。
しかし、東日本大震災の津波による砂浜の流出や、東京電力福島第一原子力発電所事故に起因する同市の海に対する風評などから、サーフィンの大会開催数が大幅に減少。
2022年度より3カ年計画で、国内屈指のサーフポイントを蘇らせるため、日本で最も歴史と権威のあるサーフィン専門誌のひとつ『FUNQ NALU』を発行するADDIXならではの“ユーザー起点の地域資源ブランディング”の設計と実行支援を行っています。
1期目のお取り組みとして制作したPR動画の企画段階で、サーファーのインサイトを調査した結果、多くのサーファーたちが「家族との時間を優先させるため、趣味のサーフィンを楽しむことにうしろめたさを感じ、サーフィンに行けない」という課題を抱えている事実が明らかになりました。
そこで、「ビギナーから上級者まで満足できるサーフポイント」という北泉海岸の特徴を効果的に伝え、サーファー自身の課題を解決するという出発点から、“サーファーを含む家族”までターゲットをひろげたアイデア『はじめてのサーフィン』を企画。サーフィンは“ニッチな大人の趣味”という認識から、“家族で楽しめるみんなの趣味”へ、サーフィンという趣味のイメージ自体をアップデートさせるような発信をプロモーション動画で行いました。
動画は、サーフィンを通じて感じられる親子の絆や子育てという普遍的なテーマをストーリーの核にすることで、サーフィンをしない人やこれからサーフィンをしたいと思っている人の共感できる作品です。
さらに、これまで南相馬市が東日本大震災までに取り組んできた「サーフツーリズム構想」について当時の関係者へのインタビューを軸に構成したドキュメンタリー動画『RESTART〜北泉海岸 再始動したサーフツーリズム』も同時制作。
ナレーターは北泉海岸を訪れたこともあり、ご自身もサーファーとして知られる俳優・坂口憲二さんが担当しました。市外への発信はもとより、地元の方のシビックプライドの向上にも寄与する作品になりました。
PR動画の制作と同時に、北泉海岸のサーフスポットとしてのポテンシャルを最大限に引き出し、効果的なPR戦略を策定するための提言を作成。
サーファーのトレンド・ニーズを明らかにし、サーフスポットとしての北泉海岸特性の調査などを通して、北泉海岸の強み・弱みを客観的に分析することで、PR戦略の方向性を決定しました。
サーフタウンPR事業業務委託
福島県南相馬市・北泉海岸のサーフポイントとしての魅力発信、サーフィン体験会の実施、キャラクターの開発など北泉海岸に足を運びたくなるような施策を、『FUNQ NALU』や『Surftrip JOURNAL』などサーフ関連IPを保有するADDIXが支援・実行しています。
クライアント課題
原発事故に伴う風評被害の払拭と、令和5年度に予定されているALPS処理水の海洋放出による風評被害拡大への対策のため、北泉海岸の付加価値を見出し、ユーザーのインサイトを踏まえた以下の課題を創出した。
・北泉海岸に「ファミリー」という新しいターゲット/ニーズを獲得する(交流人口の課題)
・サーフィンというアクティビティを「大人の趣味」から「家族の趣味」へ広げていく(サーフィンの課題)
・風評被害を払拭し、安心・安全なビーチという認知を獲得する(地域の課題)
ADDIXご支援内容






- プロモーションコンセプト、方針策定
-サーファーのトレンド・ニーズ調査
-北泉海岸特性調査
-先行事例、競合事例調査
-提言作成
-ロードマップ作成 - プロモーション動画「はじめてのサーフィン in北泉」
-企画
-演出
-撮影
-キャスティング
-編集
-デザイン
-広告配信
-自社メディア『FUNQ』への掲載のための記事編集 - ドキュメンタリー動画「RESTART〜北泉海岸 再始動したサーフツーリズム」
-企画
-演出
-撮影
-キャスティング
-編集
-デザイン
成果
- プロモーション動画「はじめてのサーフィン in北泉」の再生回数は10万回視聴、目標視聴回数5万回の2倍を達成。
- プロモーション動画「はじめてのサーフィン in北泉」が第68回県市町村広報コンクール 映像部門で2位入選。
- サーフィメディア7社(SURF MEDIA、 WAVAL、ENCOUNT、波伝説、THE SURF NEWS、NAMI-ARU?、+BCM)、福島⺠報に掲載。
- プロサーファーの宮内謙至氏、川畑友吾氏、地元サーフィン関係者、県外からの女性サーファーをゲストに迎え、南相馬市で行った意見交換会は地元メディア(福島⺠友新聞、福島⺠報、NHK福島、KFB)で取り上げられ注目が集まった。
- プロモーション動画の視聴者属性はターゲットとしていた父親世代(30~50代)がメイン視聴者となり、「サーファーが家族を連れて行きたくなるビーチ」という認知を効果的に獲得。
- 動画視聴後に北泉でサーフィンをしてみたいと思った人の割合が89%となった(n=30 23年7月 自社調べ)
- <視聴者のコメント>
サーフィンが趣味の1児の父「週末に家族を置いて自分だけ好きなサーフィンをするのがなんとなく申し訳なく、サーフィンに行く機会が減っていた。映像を見て、北泉では家族で楽しめることがわかり、ぜひ一度息子を連れて行ってみたいと思った。」一般女性サーファー「友達に福島に行くと言った際に、第一声「放射能大丈夫?」という話になった。子供を海に入れて良いのか、という不安が友達の福島のイメージ。しかし、子供向けのサーフィンスクールなど、子供も安全に海に入れるとわかることで安心も浸透していくと思った。」